TAKIHYO FOR GOOD(タキヒヨー株式会社のサステナブルサイト)

ものづくりの源流を訪ねて ひつじサミット尾州密着取材 #2

中編「国島株式会社」

「_ for good」のメンバーが、さまざまな”ものづくり“の在り方を学び、価値の再発見をするシリーズ企画「ものづくりの源流を訪ねて」。
第1回目となる今回は、世界三大毛織物産地として知られる「尾州」の活性化を目的としたイベント「ひつじサミット尾州」に密着したレポートを全3回にわたってお届けします。
中編では、1850年創業の「国島株式会社」(国島株式会社 | 尾州で最も古い歴史を持つ毛織物メーカー)の見学に密着します。

ものづくりの源流を訪ねて ひつじサミット尾州密着取材 #1

三星毛糸を後にして向かったのは、「国島株式会社」。テーラーを目指す福沢さんがひつじサミットに参加したいと思うきっかけとなった日本初の純国産ツイード「J. SHEPHERDS」を手掛けている会社ということもあり、2人の期待も高まります。

まず初めに、社員の方から国島が大切にしていることや、糸から生地になるまでの工程についての講義を受けます。
国島では紳士用のトラッドなスーツ地を主力として、高密度な織物を作れるのを強みとしています。高密度な織物は張り感がしっかりとしてシルエットの表現力が高いとのこと。しっかり勉強して、後半の工場見学に備えます。

イギリスの産業革命の頃に工場の奥まで光を届かせるために生まれた「のこぎり屋根」。繊維産業の発展の象徴ともいえるのこぎり屋根は、かつて尾州でもたくさん目にすることができましたが、工場の閉鎖などにより姿を消しつつあるそう。

工場では、国島が誇る高密度織物を生み出す織機や、自動で経糸を通せるオートドローイング機など、貴重な機械が稼働する様子を見学することができます。


糸から生地になる過程の最後に見学するのは「検反(けんたん)」と呼ばれる工程です。できあがった生地に傷などがないかをチェックしていくのですが、これは人の目で行われます。生地のわずかな傷も見逃さない熟練の技に、見学者も食い入るように見つめます。

1社目の三星毛糸でも技術の継承という産地が抱える課題の一端に触れましたが、検反についても同じように業界の人手不足をどう解消するかが課題となっています。
国島では、この課題について最新技術によるアプローチに挑戦しているとのこと。それは、「AI」の活用です。膨大なデータをAIに学習させ、「傷かもしれない」部分の発見をAIに任せることで、人が最終的なジャッジの部分だけを担うことができないかという導入実験をしているそうです。人でなければ担えないものと、テクノロジーで代替できるものを見極めて柔軟に対応していくことが産地の持続可能性を考える上でのヒントになりそうです。

工場見学の後は、いよいよ福沢さんが楽しみにしていた「J. SHEPHERDS」をはじめとした国島のアーカイブの数々を見る時間です。
「J. SHEPHERDS」は、北海道で食用として育てられた羊の毛を使用して、すべて国内の生産背景で作られたコレクションです。通常であれば捨てられてしまう食用羊の毛に注目して新たな価値を創造する国島の挑戦の過程を社員の方から直に聞くことができた福沢さんは「いつか自分が立ち上げたブランドでJ. SHEPHERDSの生地を使ったスーツを仕立てたい」と決意を新たにしました。

たくさんの気づきや学び、新たな目標を得た国島に別れを告げ、最後に訪れるのは、世界的にも希少な英式紡績機を擁するタキヒヨー株式会社一宮工場です。

ものづくりの源流を訪ねて ひつじサミット尾州#3 に続く

プロフィール


國澤 あや乃(くにさわ あやの)

サステナブルセクションプロダクションチーム。タキヒヨーのものづくりやビジネスに取り組む姿勢に魅力を感じ、2023年入社。「学ぶ者」としての視点から_ for goodに関わり、サステナビリティのプロフェッショナルを目指す。


森 康智(もり やすとも)

採用プロジェクトチーム兼広報・IRチーム。2014年に東京大学大学院修了後、新卒でタキヒヨーに入社。新卒採用、キャリアコンサルティングやPRの専門知識を生かし、多様な人々の「問いと語り」によるシナジー創出を目指す。_ for goodのファシリテーター。


伊藤 千鶴(いとう ちづる)

広報・IRチーム。社内外の広報、情報発信に長く携わってきた“社内ジャーナリスト”。豊富な執筆、編集経験を生かし、_ for goodでは「中の人」としてライティングなどを担当。

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