2023年7月、2024年1月にタキヒヨーの新たな挑戦として、アイテム別に分かれたそれぞれの部署を横断して、サステナビリティをテーマとした「総合展示会」を開催しました。
展示会開催を決定した板倉と、総合展示会のヴィジュアルをディレクションした牧原と共に、なぜいま私たちが総合展示会をやるのか、そして取り組みを通じて改めて見えてきたこと、考えたことについて語ってもらいました。
目次
- なぜいま私たちがサステナビリティをテーマに「総合展示会」をやるのか
- 今後の「総合展示会」が目指すべき“場”とは
1.なぜいま私たちがサステナビリティをテーマに「総合展示会」をやるのか
森:
昨年7月、今年の1月に総合展示会が開催されましたが、部署横断型で全社として開催する、しかもサステナビリティを主題にしたというのは、かなり挑戦的な試みだったと思います。その狙いとか意義ってどういうところにあったのか聞かせてください。
板倉:
まずは、「タキヒヨーが何をしているか、何ができるのか」を発信する場が必要だと思ったんだよね。僕らが「タキヒヨー全体として」どんなソリューション提案ができるかっていうことをこれまできちんと示せていなかった。もしかしたら社内の人たちも、全部頭に入ってる人はほとんどいないかもしれない。そういう意味では、社内、社外、双方にむけた情報発信の場として“総合”展示会をやる必要があって。
特に、サステナブルソリューションのところは、これからもっとサステナビリティの波が押し寄せてくるって予測していて、会社としても中長期的に取り組むことが必須だと思ってるんだけど、社内でも何となく必要性はわかってはいるものの、「そうは言っても」っていう気持ちがあるのがわかる。だから社外よりもむしろ社内に、これからのタキヒヨーの柱はこれってメッセージを発信したかった。
森:
確かに提案する側の僕らがちゃんとわかっていないと社外の人にも伝えられないですもんね。まず興味を持ってもらえたら、サステナビリティについて自分で調べたり勉強したりするきっかけにもなるだろうし。サステナブルについての考え方に社内でもグラデーションがあるってことは、社外ではもっと温度差があるってことですよね。それを前提とした上で、社内、社外を巻き込んで「総合展示会」を「考える場」にするっていうことですよね。
牧原:
サステナブルって難しくて。今すぐ形になるわけじゃないじゃないですか。私は元々アパレル製品部門のデザイナーをやっていて、そこからサステナブルチームになったこともあって、どっちの立場の気持ちもわかるんですよね。製品部は「いま」を作ってる、サステナブルチームは「これから」を作ってる。どっちが大事とかじゃなくて、どっちもあるから大事。役割が違うっていうだけ。お互いにちゃんと分かり合えるまで対話するってことだと思う。
國澤:
私は入社1年目で、第1回目の総合展示会は配属の辞令から2週間だったので本当に右も左もわからず、自分自身がお客さま目線でした。今回の総合展示会では他の製品部の方にも積極的に話しかけて、自分の知らないタキヒヨーのことを聞いたり、逆に自分の部署の強みを伝えたりすることで、総合展示会をコミュニケーション活性化の場にできた気がします。私みたいな若手にとっては、成長機会にもなってると思います。
森:
対話することで、お互いに対する理解を深めていくってとっても大事ですよね。知ることで、サステナビリティに取り組んでる人を例えば「キレイゴト」「お金にならないことをやっている」みたいな解像度で見ることはなくなると思うんですよ。サステナビリティとは、みたいなことを上から教えるっていうのではなく、「いま何を考えているか」を語り合うことでお互いをリスペクトできるようになったらすてきですよね。
板倉:
そういう意味でも、総合展示会っていう全社が関わる場所で、サステナビリティについて、今僕たちがこんな風に考えていますっていうのをちゃんと見てもらうっていうのは、すごく大切なこと。1回目、2回目にサステナビリティをテーマの主軸にしたのは、そういう意味もあったんだよね。
森:
僕がすごく印象に残っているのは、来場いただいた有識者の方から「タキヒヨーさんほど、サステナビリティに対して誠実にやってる会社はないと思う」という評価に続けて「ファッションを諦めないのが良い」って言われたんです。これ、どういうことかというと、サステナブルを、単なる「エコ」みたいな観点だけで打ち出すんじゃなくて、ファッションとしてのクオリティをきちんと追求しているところを評価してくださったと思っていて。
牧原:
ファッションにおけるサステナビリティを考える上で、結局は一人のカスタマーとして見たときに、やっぱり「かわいいもの」が欲しいっていうだけなんですよ。「何が欲しい?」「何で自分の気持ちが上がる?」っていう、カスタマーとしてのモチベーションを常に見続けることを無視して、サステナビリティは語れないと思っています。価値観は常に変化するし、1つの物を買う理由ってどんどん変わるんだけれども、それを見て、お客さまと一緒に考えながら提供するものを変えていくのが、私たちものづくりをする側がやらなきゃいけないこと。難しいんだけど、難しいって思っちゃうとできない理由にしちゃうから、難しいって思わずに「できる」って思うことにしてる。
板倉:
それって、タキヒヨーのアイデンティティ、「タキヒヨーらしさ」につながってるんじゃないかな。ものづくりにこだわっていて、サステナブルでありながら、でもあくまでもファッションじゃなきゃいけないよねっていうところができるのが、タキヒヨーが商社ではあるけれども何かを右から左に流すだけじゃなくて“つくる”商社であることなんだと思う。
森:
お客さま目線で、右から左じゃなくて一緒に作っていく、お客さまの課題と向き合って提案していくっていうところが「タキヒヨーらしさ」を形作ってる感じがしますね。この「らしさ」が多様な部署が集まって開催された総合展示会全体を通して自然に浮かび上がってくるっていうのがおもしろいですよね。
2.今後の「総合展示会」が目指すべき“場”とは
森:
みなさんの中で、今後総合展示会をどういう場にしていきたいっていうのはありますか?
國澤:
今私が中心的に関わっているのは、サプライチェーンをサステナブルな認証でつなぐっていうところなんですけど、それって今この瞬間には日本の市場で求められてることじゃないんです。でもグローバルな視点で見たら、絶対今後この流れはくるって思ってるから、それに備えて常にタキヒヨーが総合展示会っていう「場」を使って発信し続けることが必要だと思っていて。発信し続けることで、今は届かないかもしれないけど、その波が来た時にタキヒヨーを一番に思い出してもらえるように。
板倉:
社内的にも社外的にも「タキヒヨーが何をできるか」を知っておく、知ってもらうことって、今までとは違う取り組みができるかっていう発想を生み出すと思うんだよね。これとこれをつなげたら、こんな新しいビジネスができるな、とかそういうアイディアの源泉になるんですよ。
森:
なるほど。知ることによって、何を「一緒に」できるかっていう選択肢が頭にある状態にできますもんね。
この_ for goodは、「一緒に」考える、「一緒に」語る、がコンセプトになっているんですけど、総合展示会も社員同士やお客さまと「一緒に」考える場になっているというところが、すごく共通点ある感じがしますね。
「一緒に」考えていく中で、全体からなんとなく「タキヒヨーらしさ」が伝わって、お客さまの課題解決につながるっていうのが「総合展示会」の目指すところですね。
今回は、_ for goodのあり方が「タキヒヨーらしい」メディアであることを再確認した語りの時間でした。
それぞれの視点を持ち寄って語り、一緒に考えることで想いが重なって
それが「らしさ」につながっていく。
「あなた」と一緒に、「わたしたちらしい」やり方で世の中をもうちょっと良くしていきたい。
そう心から思っています。
プロフィール
座談会メンバー
板倉 秀紀(いたくら ひでのり)
取締役 常務執行役員。卸売事業におけるコアアイテムであるレディスボトムのスペシャリスト。レディス部門の豊富な経験を生かしてメンズ部門でもビジネス拡大に寄与。営業のトップとして中長期的な目線でお客さまの課題解決に取り組む。
座談会メンバー
牧原 由紀子(まきはら ゆきこ)
入社後、デザイナーとしてレディス布帛アイテムを担当。他社デザイナーを経てOEM/ODMでのトータルアイテムの素材提案から企画・生産まで幅広く担う。2021年よりサステナブルチームで素材・製品とサステナビリティをつなぎ、新しい価値創りを目指す。サステナブル専門サイトTAKIHYO FOR GOODの立ち上げメンバー。
座談会メンバー
森 康智(もり やすとも)
採用プロジェクトチーム兼広報・IRチーム。2014年に東京大学大学院修了後、新卒でタキヒヨーに入社。新卒採用、キャリアコンサルティングやPRの専門知識を生かし、多様な人々の「問いと語り」によるシナジー創出を目指す。_ for goodのファシリテーター。
座談会メンバー
國澤 あや乃(くにさわ あやの)
サステナブルセクションプロダクションチーム。タキヒヨーのものづくりやビジネスに取り組む姿勢に魅力を感じ、2023年入社。「学ぶ者」としての視点から_ for goodに関わり、サステナビリティのプロフェッショナルを目指す。
ライター
伊藤 千鶴(いとう ちづる)
広報・IRチーム。社内外の広報、情報発信に長く携わってきた“社内ジャーナリスト”。豊富な執筆、編集経験を生かし、_ for goodでは「中の人」としてライティングなどを担当。